焼香の順序

 葬儀場での話のつづき。あまり広くないホールがいっぱいになったので、別室へ案内された。そこではホールの模様が中継されている。葬儀社の人が来て、別室にいた老人を名前を呼ぶまでもなく、ホールに案内した。その老人がホール前方の空席に案内されるようすが中継で分かった(なんだ、空席があるじゃないか)。

 名前を呼ばれて焼香に立った「老人」は元最高裁判事だった。名前を呼ばれるからには遺族がリストを作成していて、「焼香差別」を承認しているのだろう。別室の模様もどこかに写っていて、顔で判断しているのだろう。「当家取り込み中のため、順不同はお許しください。」とのアナウンスが空しく聞こえる。